大神神社が鎮まる聖地三輪山

「三輪山の深い緑をせなにして」で始まる母校三輪小学校の校歌。

幼少の頃から三輪山に抱かれて生活してきた私にとって、聖山三輪山はごく身近に感じられる場所でした。お神輿を担いだり、ごくまきのお餅を拾ったりした思い出の地でもあります。パワースポットや聖地巡礼で名を馳せる以前からずっと、そこにある産土神だったのです。

大神神社拝殿

大神神社拝殿。

国の重要文化財に指定される建物で、寛文4年(1664)に徳川家綱公により再建されています。

大神神社は三輪山を御神体とし、本殿の無い原始信仰の姿を今に留めています。三輪山と拝殿を区切る場所に立つ、これまた重要文化財の三ツ鳥居を通して三輪山を拝みます。三ツ鳥居の拝観は、拝殿向かって左横の参集殿で申し込みます。

大神神社の神宝神社

三ツ鳥居の東方に祀られる神宝神社

神宝(かんだから)神社に祀られる神様は、熊野三山の神々です。通称を熊野権現とも言い、神様の宝物をお守りする神社として仰がれます。三宝荒神、財宝の神とされ、古くから篤い信仰を集めています。神宝神社の参道左手には清明殿が控えます。数年前のGWシーズンにこの神社にお参りした時、参道脇に幽霊の姿を思わせる銀竜草(ギンリョウソウ)が見頃を迎えていたのを思い出します。

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狭井川の畔のささゆり伝説

大神神社の御神花と言えば、初夏に咲くささゆりの花が広く知られます。

古事記を紐解けば、三輪山麓の狭井川の畔に大物主命の御子神である媛蹈鞴五十鈴姫命(ひめたたら いすずひめのみこと)が住んでいたと伝えられます。大物主命は大神神社の御祭神です。その御子神に当たる五十鈴姫命が、ささゆりの咲き誇る狭井川の畔で暮らしていたという物語の設定です。

市杵島姫神社とささゆり

市杵島姫神社の手前に開花するささゆり。

鎮女池を左手に見ながら進むと、薬水(御神水)で知られる狭井神社へと入って行きます。三輪山登拝の登山口がある場所としても知られます。

五十鈴姫命の母親を、つまり大物主命と結ばれた人物を勢夜陀多良比売(せやだたらひめ)と言います。五十鈴姫命はその美貌から神武天皇に見初められ、めでたく二人は結ばれて橿原神宮の御祭神となっています。

娘が美しければその母親もご多分に漏れず美しいものです。

五十鈴姫命の母親であるセヤダタラヒメに一目で心を奪われた大物主命。セヤダタラヒメを射止めるため、オオモノヌシは神聖な魔法の矢に変身します。川を流れていく魔法の矢。川の近くで用を足していたセヤダタラヒメに、故意に矢が突き刺さります。驚いたセヤダタラヒメではありましたが、その矢を洗い清めて床の傍に置きます。そうするとどうでしょう、矢はたちまち麗しい青年の姿に戻り、二人はめでたく結ばれます。

こうして生まれたのが、五十鈴姫命なのです。

大神神社のささゆり

ささゆり園に開花するささゆり。

見目麗しく育った五十鈴姫命は、高佐仕野(たかさじの)という場所で神武天皇に見初められます。その後二人は、狭井川の畔のささゆりの里にある五十鈴姫命の家で一夜を共にするというお話が伝わります。

ささゆり園入口

ささゆり園入口。

ささゆりの開花時期ですが、5月下旬~6月中旬と案内されていました。その年の天候状況にもよりますが、梅雨の季節よりも若干早くその見頃を迎えるようです。

大神神社の摂社・率川神社にも祀られる五十鈴姫命。

毎年6月17日に率川神社に於いて執り行われる例祭の三枝祭は、別名を「ゆりまつり」とも言います。姫神の御心をお慰めするために、御供えの酒樽をささゆりの花で飾ってお祀りします。幼い頃から慣れ親しんだ花だけに、きっと姫神もお喜びのことでしょう。

三枝祭の前日の6月16日には、御神花である笹百合を大神神社から率川神社に届けるささゆり奉献神事が催されます。ささゆり音頭を踊る社中が、ささゆりを載せた花車を先導して奈良市街を賑やかに練り歩きます。風流踊りも参加する奈良の三条通は多くの見物客で賑わいます。

昨年度も開園していたささゆり園ですが、その時に購入したささゆりのクリアファイルは今も大切に使わせてもらっています。

大神神社の参拝時間

当館にご宿泊頂くお客様にもよく聞かれるのですが、大神神社の参拝時間は何時から何時までなのでしょうか。

お寺に参拝する時のように、基本的にその拝観時間が決まっているわけではありません。暗い夜になってからでも、お参りしようと思えばお参りできるものと思われます。しかしながら、祈祷を伴う正式なお詣りなどの際には、その参拝時間が決められています。午前9時から午後5時までと覚えておきましょう。

大神神社にお参りするなら、ご神職を通しての昇殿参拝をおすすめ致します。

昇殿参拝する際には、お願い事・住所・氏名・生年月日の情報が必要になります。昇殿参拝の申し込み受付の場所は参集殿です。拝殿向かって左横の、なでうさぎの居る場所で受付を済ませ、ある程度祈祷の申込者が集うまで待合室で待つことになります。なお、神楽祈祷に関しては午後4時までの受付時間となっています。

大神神社の自動車御祓所

大神神社の自動車御祓所。

二の鳥居の右手にある車のお祓い所です。

平成21年度から始まっているついたち朝市の会場でもあります。毎月一日のお朔日参りの活性化と、豊年講講員さんたちの農産物を広くアピールするために始まった「ついたち朝市」ですが、徐々にその認知度も高まってきているようです。

自動車御祓所の手前を右に取って坂道を上がって行くと、大礼記念館や社務所の前を通って神宝神社へと辿り着きます。

自動車御祓い所の奉献車

自動車御祓所の控室に、「第62回神宮式年遷宮 お白石を奉献する奉献車」と題する小さな模型が置かれていました。

伊勢神宮に伝わる「お白石持行事」に使われる奉献車のようです。お伊勢さんの遷宮諸行事の一つに数えられ、新しい御正殿の敷地に敷き詰める「お白石」が奉献される民俗行事です。天照大神を祀る伊勢神宮ですが、伊勢の地に鎮まる前に、大神神社の摂社である檜原神社に祀られていたのは有名な話です。天照大神を祀った元伊勢が、三輪山麓に伝わります。

大神神社の社号標

大神神社の社号標。

二の鳥居の左手前に「幽玄」の文字が見えます。

二の鳥居の手前には大神神社の駐車場があります。バス停もありますので、参拝の際にはこの場所まで車やバスで上がって来ることができます。二の鳥居をくぐると、玉砂利の敷かれた参道が拝殿下まで続いています。両側を深い緑に囲まれた参道には、神様の気のようなものが流れています。ここからいよいよ、本格的に三輪山の懐へと入って行きます。

大神神社の願い事とご利益

大神神社にお参りする際、何を祈願すればいいのか?

ふと立ち止まって考えてしまうのですが、基本的にはどんな願い事でもいいのではないでしょういか。お参りの際のお願い事は、主に5つのカテゴリーに分けられます。

一つ目は日常生活に関する願い事で、家内安全・交通安全・身体健康・病気平癒が挙げられます。御神水の湧き出る狭井神社には病気平癒のご利益があると言われています。

二つ目は会社・企業に関わる願い事で、商売繁盛・工場安全・工事安全をはじめ、新会社、支店、営業所、プロジェクトの安全を祈願します。さらには資格取得安全・病院業務の安全なども含まれます。

三つ目は人生儀礼に関わる願い事で、安産・初宮詣・七五三詣・厄除祈願などがあります。

大神神社の祓戸神社

祓戸神社。

玉砂利の参道を進んで行くと、やがて左手に古神符納所が見えてきます。さらにその奥に鎮まる社殿が、一番最初にお参りする祓戸神社です。

四つ目は建築に関わる願い事で、建築安全の他、方除け・修繕安全などにもご利益があるとされます。

最後の五つ目はその他の願い事で、心願成就・縁結び・入試合格・転宅安全・災難除け・神恩感謝・生育安全・就学安全・在学中安全・卒業御礼・旅行安全・成人祭等々が挙げられます。

人生全般における、実に様々なご利益のある大神神社参拝。

祓戸社で身も心も清めて、準備万端に大神様の懐へと入って行きましょう。

大神神社の夫婦岩

大神神社の夫婦岩

夫婦岩の手前には祈願絵馬がずらりと並び、人気の高い縁結びスポットであることが伺えます。古事記に伝わる三輪山伝説にあやかろうと、数多くの参拝客が詣でる場所となっているようです。

三輪山伝説を紐解きます。

若宮神社に祀られる大直禰子(おおたたねこ)の祖先の活玉依毘売(いくたまよりびめ)はとても美しい女性でした。そこへ正体の分からない青年が夜毎訪れるようになります。イクタマヨリビメの両親は心配になり、娘にこう言います。

「赤土を床の前に撒き、糸巻の紡いだ麻糸を針に通して、その青年の着物の裾に刺しなさい」

言われた通りにしたイクタマヨリビメ。朝になって見てみると、麻糸は戸の鍵穴を通って外に伸び、遥か三輪山へと続いていたと云います。その糸を辿っていくと、糸巻には三巻の糸が残っているだけでした。三輪の地名は、この時の三巻の糸に由来しています。鍵穴から出て行った青年の正体は、三輪山に棲む蛇だったという逸話です。

縁結びにご利益のある大神神社ですが、夫婦岩の他にも、恋人の聖地に選ばれた大美和の杜展望台が縁結びスポットとしておすすめです。展望台は桜の名所にもなっており、花見に訪れる人も数多く見受けられます。

大神神社の志るしの杉

大神神社の志るしの杉

手水舎の北側に鎮まる神杉です。三輪の七本杉の一つに数えられ、神の坐す杉と仰がれます。高さ2mほどの根元部分だけが残され、注連縄と紙垂で結界が張られています。

大神神社では、毎年11月14日に酒まつりの醸造安全祈願祭が催されます。その際に、拝殿に吊るされている大杉玉の掛け替えがありますが、あの大きな杉玉の名前も「志るしの杉玉」と言います。

結婚式が執り行われる大神神社儀式殿

志るしの杉を背にする手水舎の上手に拝殿があります。

今回は拝殿へは上がらずに、成願稲荷神社や神坐日向神社の鎮座する山の辺の道方面へと向かいます。

一通り摂末社の参拝を済ませ、平等寺の手前で引き返して再び大神神社の境内へと入ります。

平等寺から先へ、山の辺の道は磯城瑞籬宮跡、金屋の石仏、海柘榴市観音、仏教伝来之地碑と続いて行きますが、今回は仕事の合間を縫っての参拝だったため時間も無く、敢え無く引き返すことに致しました。

大神神社の到着殿

大神神社の到着殿

拝殿向かって左側にある建物で、拝殿と参集殿をつなぎます。

大神神社祈祷殿

祈祷殿。

平成9年度に竣工した檜を用いた木造社殿です。

お宮参りの際、祈祷殿の中で祝詞を読み上げて頂いたことを思い出します。祈祷殿前の斎庭には、記念撮影用のなでうさぎが陣取ります。うさぎの横には、参拝記念の日付けが案内されています。

祈祷殿前の斎庭は、11月の農林産物品評会の会場としても使われています。

11月23日の新嘗祭の前に出品・審査、展示が行われ、祭典後には即売会が催され、境内はいつも以上に活気を帯びます。

大神神社儀式殿とくすり道

祈祷殿向かって左側の儀式殿。

大神神社の結婚式が執り行われる場所です。神社婚が人気を集める中、古式ゆかしい三輪さんの挙式もその認知度が高まりつつあります。

儀式殿が結婚式場となり、祈祷殿前の斎庭が記念写真撮影場となります。祈祷殿や儀式殿とつながった参集殿は親族の控室として利用されます。

神前結婚式の挙式次第は、修祓、祝詞奏上、夫婦盃の儀、指輪交換の儀、御神楽奉奏、誓詞奏上、新郎新婦玉串奉納、斎主祝辞、親族盃の儀と続きます。挙式の所要時間は、一同着席から約35分となっています。

大神神社の宝物収蔵庫

大神神社の宝物収蔵庫

祈祷殿・儀式殿前にある建物で、大神神社にまつわるお宝を拝観することができます。

禁足地出土の子持勾玉や県指定文化財の大国主大神木造など、見所が随所にちりばめられ古代史好きにはおすすめの場所となっています。

宝物収蔵庫の開館時間は午前9時30分~午後3時30分です。

開館日は毎月1日と土・日曜・祝日、およびお正月の1月1日~5日となっています。拝観料は大人200円、小人(高校生以下)100円です。割と開いている日の少ない施設ですので、拝観の際には注意が必要ですね。

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