長谷寺特別拝観で十一面観音と結縁

長谷寺十一面観音との感動の結縁。

春秋の特別拝観期間中には幾度となく催されているイベントですが、ついに私も長谷観音の御足に触れて参りました。

結縁の五色線

結縁の五色線

特別拝観の記念に腕に結んで頂きました。本堂内陣の入口に於いて、係の方に結んで頂く五色線は観音様との縁結びの象徴です。これからもずっと、私たちを見守って下さることでしょう。

長谷寺の黒い牡丹

長谷寺の黒い牡丹「黒竜錦・初烏」。

長谷寺の宝物を公開中の宗宝蔵前庭に開花していました。黒い牡丹は珍しく、数多くの参拝客がカメラを向けておられました。大輪の花を咲かせる抱え咲きの黒竜錦(こくりゅうにしき)には、白い絞り模様が入っています。初烏(はつがらす)は黒竜錦よりもやや小さめですが、牡丹の中でも最も黒い品種として知られます。

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結縁の五色線は仏の五つの智慧を表す腕輪

結縁の五色線は、白・赤・黄・青・黒の五色の糸が縒り合わさって作られています。災いを除き、安心を与える腕輪ですが、この五色の色の配合には見覚えがあります。長谷寺にも近い、同じ桜井市内に佇む聖林寺で見た五色幕(ごしきまく)を思い出します。

お寺でよく目にする五色幕と同じく、仏教における五つの智慧を表現する「結縁の五色線」。

長谷寺の本堂にも垂れ下がっている五色幕ですが、結縁の五色線を身に付けているだけで、不思議と仏様のご利益に授かれるような気が致します。

御本尊大観音特別拝観

本堂脇に立つ御本尊大観音特別拝観の看板。

右手に持つ錫杖が真っ直ぐに伸びていますね。真下から仰ぎ見る十一面観世音菩薩立像は、それはそれは圧巻の一言でした。

仁王門前の拝観受付で、特別拝観の入山共通券を1,300円で購入します。399段の登廊を登り切り、本堂向かって右手の特別拝観受付窓口でチケットを手渡します。拝観日の記された受付済スタンプを押して頂き、記念グッズとして結縁の五色線を頂戴します。

長谷寺仁王門と登廊

長谷寺参拝の足取りをご案内致します。

初瀬川に架かる連歌橋脇の長谷寺駐車場に車を停め、長谷寺の入口である仁王門へと向かいます。

高浜虚子の句碑

仁王門の手前右手に、有名な高浜虚子の句碑がありました。

「花の寺 末寺一念 三千寺」

句碑の前辺りにトイレがあったので、境内に入ってから困らないように用を足しておきます。

長谷寺仁王門

長谷寺仁王門。

いつもは真正面から撮影しているのですが、今回は斜め下のアングルから撮ってみました。

現在の仁王門は明治27年(1894)に再建されています。二層構造になっており、一層目両脇には仁王像が睨みを利かせています。楼上には釈迦三尊十六羅漢像が安置されていることを拝観パンフレットで知ることになります。京都の名だたるお寺では、総門の楼上が度々公開されています。長谷寺仁王門の楼上に、まさか釈迦三尊十六羅漢像がいらっしゃるとは思いもしませんでした。いつか公開される日が来るのでしょうか、その日を待ち侘びたいと思います。

仁王門の「長谷寺」額字は、後陽成天皇の御宸筆とされます。

長谷寺仁王門の草鞋

大きな草鞋が掛けられていました。

観音霊場をイメージさせる草鞋ですが、弘法大師空海との同行二人を思い起こします。弘法大師を身近に感じながら旅をするお遍路ですが、神様や仏様を肌身に感じることの出来るものは何物にも代え難いですよね。

長谷寺仁王門の「ぼたんまつり」

仁王門に掛かる長谷寺ぼたんまつりの看板。

雅な雰囲気を醸す長谷型燈籠が吊るされています。

毎年4月末から5月初めのぼたんまつりのシーズンになると、長谷寺周辺の国道165線、169号線沿いには混雑予想の看板が立ち、ドライバーの目にするところとなります。

長谷寺登廊

長谷寺名物の登廊(のぼりろう)。

登廊の手前左側に、「諸天神祇在」の文字が見えます。反対の右側には「諸仏経行所」の文字が掲げられ、長谷寺の懐の深さをうかがわせます。諸天神祇在(しょてんじんぎざい)と諸仏経行所(しょぶつきょうぎょうしょ)。この言葉の意味するところは何なのでしょうか。つまり、長谷寺には古くから信仰されている神様と、仏教における仏様が両方お祀りされているということが表されています。

神も仏も祀られる長谷寺。

古来より数多くの文人墨客たちが魅了されてきた歴史が蘇ります。

登廊は平安時代の1039年に作られました。春日大社の社司・中臣信清が、子の病気平癒のお礼に作ったとされます。長谷寺の牡丹も馬頭夫人の贈り物と言いますから、長谷寺では謝礼による産物が人気を集めていることが分かります。

399段の登廊は上中下の三廊、合計108間に分かれています。2間おきに長谷型燈籠が吊るされ、独特の風情を生み出しています。108間という数字は、やはり煩悩の数が意識されているのかもしれません。

長谷寺宗宝蔵の牡丹

長谷寺宗宝蔵に咲くピンク色の牡丹。

長谷寺六坊の一つ、清浄院跡地に建ちます。建物内に入ると、いきなり恰幅のいい閻魔大王と思しき坐像が迫ってきます。長谷寺の歴史を物語る銅板法華説相図(千仏多宝仏塔)なども展示されており、長谷寺参詣の見所の一つとなっています。

額縁に収まる長谷寺の風景

今までに幾度となく長谷寺にお参りして来ましたが、おすすめしておきたい二つの額縁風景があります。

長谷寺礼堂のびんずる尊者

本堂東側から礼堂の中を望みます。

内舞台の向こうに賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)の像が浮かび上がります。撫で仏とも言われる赤ら顔の賓頭盧尊者の横顔を、はるか前方に望む額縁風景です。写真の右手には、御本尊の十一面観音像を仰ぎ見る参拝客の姿が写っています。

長谷寺本坊の猩々野村

もう一つの額縁風景が、本坊の猩々野村(しょうじょうのむら)です。

猩々野村とはオオモミジ系の大葉の紫葉品種の名前で、晩秋に赤く色付く紅葉は実に見事です。牡丹の季節に訪れたので、その葉っぱは濃い赤紫色をしていました。この長い廊下を長谷寺の僧侶が足早に歩く時、得も言われぬ風情を醸し出します。

長谷寺を鮮やかに切り取る名物風景としてご紹介しておきたいと思います。

長谷寺の緑色の牡丹

宗宝蔵の前庭に咲く緑色の牡丹。

黒い牡丹の左脇に、これまた珍しい緑色の牡丹が植えられていました。

長谷寺二本の杉

長谷寺の二本の杉。

宗宝蔵北側の道を東へ向かうと、静かな緑に包まれた場所へ出ます。境内を案内する道標から右手に続く階段を下りて行くと、程なく左手に二本の杉が姿を見せます。

藤原定家塚と俊成碑

二本の杉からさらに下りて行った所に、藤原定家塚と俊成碑があります。

新緑の季節とあって、周囲の緑も実に綺麗です。この辺りは参拝客も少なく、ちょっとした森林浴が楽しめます。

長谷寺特別拝観で牡丹の開花状況をチェック

GW直前に訪れた長谷寺境内には、様々な種類の牡丹が咲き乱れていました。

気になる開花状況ですが、咲き揃いつつはあるものの、まだまだ満開とまではいきませんでした。おそらくゴールデンウイークのピークに当たる5月3日、4日、5日辺りには見頃を迎えているのではないでしょうか。とは言っても、そんなに混雑を気にすることもなく楽しめた一日に大変満足しています。

長谷寺の牡丹

登廊の両脇や本坊門前に、名物の牡丹が開花しています。

実に様々な色の牡丹が咲いていましたが、黄色い牡丹は比較的少なかったような気が致します。どうやら黄色い牡丹の開花時期が一番遅いようです。5月10日頃までは長谷寺の牡丹を堪能できると思いますが、GW明けには黄色い牡丹もたくさん見られるのではないでしょうか。

長谷寺の抹茶席

境内には抹茶席も準備されています。

いつもとは違ったアングルから長谷寺を楽しむことができます。抹茶席の料金は500円です。どうやらコーヒーのサービスもあるようですね。

長谷寺の牡丹と登廊

抹茶席へ向かうために、一旦登廊から外れて東へ向かうわけですが、その両脇にも牡丹が開花していました。長谷寺の牡丹を写真に収めるには、この場所が一番おすすめです。斜め下に登廊を見下ろし、その手前に牡丹の花を配置します。

長谷寺の牡丹と登廊

蕾の状態の牡丹。

丸く膨らむ蕾に、牡丹の生命力を感じます。

長谷寺の三部権現社

三部権現社。

下の登廊を登りきると繋屋があり、さらに右へ折れて中の登廊が続きます。繋屋から真っ直ぐ伸びているのが開山堂へと続く嵐の坂です。嵐の坂の手前を左方向へ登って行くと、鄙びた雰囲気の三部権現社が佇んでいました。

長谷寺の三百余社

こちらは三百余社(さんびゃくよしゃ)。

上の登廊の一番上、本堂の手前に佇む祠です。尾上の鐘の真下にありますから、法螺貝の音色をいつも間近に聞いている祠ということになります(笑)

三百余社は江戸時代前期の1650年(慶安3年)に造られた一間社春日造、銅板葺きの建物です。国の重要文化財に指定されていると言いますから、意外なところに宝物を発見致しました。

長谷寺十一面観音が祀られる国宝本堂

三百余社を左に見ながら399段の登廊を登りきると、いよいよ左手に本堂への入口が見えてきます。

真っ直ぐ進んで相の間よりご本尊を仰ぎ見ることもできますが、まずは本堂をぐるっと回って景色の開けた舞台へと出ます。

長谷寺本堂の舞台

長谷寺の舞台。

舞台造懸造とも称される長谷寺の本堂は国宝に指定されています。十一面観音を安置する内陣と外陣(礼堂)、内陣と外陣をつなぐ相の間、そして絶景の広がる舞台で構成される長谷寺本堂は、いつも数多くの参拝客で賑わっています。

長谷寺の燈籠

本堂横の燈籠に「長谷観音講」の文字が見えます。

燈籠の右手向こうに、本堂内陣へと入って行く参拝客の後ろ姿を確認します。

長谷寺礼堂の龍

本堂外陣の礼堂に、勇ましい姿の龍を見ます。

2年前の2013年に訪れた時には、ちょうどこの辺りの長谷寺礼堂にも牡丹の花が飾られていました。今年度の2015年4月末日時点では、本堂外陣に牡丹の花は見られませんでした。

長谷寺の景色

結縁の五色線を舞台の上からかざします。

何だかありがたい気分(笑)

長谷寺結縁の五色線

特別拝観の受付に結縁の五色線が案内されていました。

いよいよ10m余りの身の丈を誇る十一面観音様との御縁を結ぶ時がやって参りました。近江国高島から来た楠の霊木を用いて、わずか3日間で造り上げられたと伝えられる御本尊です。長谷寺と名乗るお寺は全国に240寺を数えます。末寺三千余ヶ寺、檀信徒三百万人とも言われる長谷寺。全国に広がる長谷観音の根本像こそが、これから結縁させて頂く十一面観世音菩薩像なのです。

右手に錫杖、左手に水瓶蓮華を持った長谷寺式の大観音様。

平らな大盤石の上に立ち、両脇には難陀龍王(なんだりゅうおう)と雨宝童子(うほうどうじ)が仕えています。

特別拝観の入口で、係りの方に塗香等の名香を粉末にした香を左の掌にのせて頂きます。やはり右手は不浄の手ということなのでしょうか、左手に受けた香で両手を擦り合わせます。ふぁっと香の匂いが鼻腔に届きます。胸の前で両手を合わせ左右に開き、五体が清浄になると心に念じます。

続いて結縁の五色線を左手首に結んで頂き、御本尊のいらっしゃる内陣へと歩を進めます。

中に入ると、やはりそこは異空間でした。いにしえより幾度となく擦られたであろう御足は黒光りしていました。右の錫杖と左の天衣が大盤石に繋がっていて、見上げるとそこには初めて見る十一面観音様の御顔がありました。初体験のアングルに、しばし時を忘れて立ちすくみます。

御足に触れるのも順番待ちです。

まずは右足に触れて祈りを捧げます。御本尊の周囲には四天王の絵、背後には秘仏の懸仏が祀られていました。再び御前に戻ってきて、今度は左足に触れます。やはりここまで来て、片足だけで終わるのは勿体無いと考えるところなどは、まだまだ俗物といったところでしょうか(笑) 御本尊との結縁を終えて、さらにその周りに祀られていた徳川家の祠や裏観音を拝観します。

長谷寺大黒堂

こちらは本堂の西側に佇む大黒堂。

結縁財宝の大黒天が祀られており、大和七福八宝霊場の一つとして知られます。弘法大師作の尊像は一般的によく見られる大黒様とは違い、どこか荒削りの印象を与えます。必見の尊像ですので、長谷詣での際は是非お参りしてみてはいかがでしょうか。毎月29日には、大黒天祈願法要が営まれています。

長谷寺の裏観音

本堂の建物裏からも、先ほど拝観した裏観音を拝むことができます。

御本尊と同様の長谷寺式観音であり、本尊が秘仏であった時代には堂裏より拝まれていたようです。

弘法大師御影堂

弘法大師御影堂。

大黒堂からさらに緩やかな坂道を登って行くと、右手に弘法大師の御遠忌を祈念して建てられた御影堂が見えてきます。弘法大師の両側には、細密な版画「長谷寺版両界曼荼羅」が祀られています。毎月21日には、弘法大師御影供の法要が行われています。

本長谷寺

本長谷寺。

弘法大師御影堂からさらに進むと、長谷寺の歴史を物語る本長谷寺が佇みます。

天武天皇の勅願により、道明上人がここに精舎を造営したと伝えられます。朱鳥元年の686年、道明上人が天武天皇の病気平癒を願って銅板法華説相図を鋳造して、御本尊として祀ったのが長谷寺の始まりとされます。

長谷寺五重塔

本長谷寺に隣接する五重塔に結縁のシンボルをかざします。

数年前の紅葉のシーズンに、本堂から望んだ五重塔が印象に残っています。

長谷寺三重塔跡

五重塔のすぐ傍には、三重塔跡があります。

周りにはベンチが置かれ、歩き疲れたであろう参拝客が休憩しています。

長谷寺開山堂

開山堂。

本堂から西へ、石段を下った所に長谷寺の開山である徳道上人が祀られています。

徳道上人は長谷寺開基の道明上人の弟子に当たる人物です。開山堂には西国三十三所各霊場の御本尊も併せて祀られています。毎月2日には、徳道上人回向の法要が営まれるお堂でもあります。

慈悲深い長谷観音との結縁は、生涯忘れられない思い出となりました。またいつか、私の中で何か変化が起こった時にでもお参りしてみようと思います。

長谷寺拝観案内

長谷寺の関連記事をご案内致します。

西国三十三所観音霊場第八番札所 真言宗豊山派総本山 大和国長谷寺

住所:奈良県桜井市初瀬731-1

拝観料:中学生以上500円 小学生250円

駐車場:有料70台 普通車500円 バス2,000円

アクセス:近鉄大阪線長谷寺駅より徒歩20分

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