春日大社着到殿でアート作品を鑑賞

時空を超えたアートの祭典『古都祝奈良(ことほぐなら)』

昨今では HANARART などの芸術フェスが人気を博していますが、今秋の奈良市内では ”古都祝奈良” というアートインスタレーションが展開されています。奈良時代の都の中心地である平城宮跡、古都奈良を象徴する社寺や奈良町を舞台にして、「舞台芸術」「美術」「食」の三部門を切り口に様々なプログラムが進行中です。

春日大社着到殿のアート作品

春日大社の着到殿に展示されるアート作品。

「まだ かみさまが いたるところにいたころの ものがたり」と題するインタラクティブアート作品が、春日大社の着到殿(ちゃくとうでん)にて展示されていました。子供たちが歓声を上げながらスクリーンにタッチし、その奇想天外な動きを楽しんでいます!

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勅使を迎える場所で上映される象形文字アート

春日大社の参道は延々と長いことで知られます。

その参道もいよいよ終わりを迎える辺り、南回廊の少し手前に着到殿という建物があります。例祭春日祭の際には、朝廷からの勅使を迎える着到の儀が行われる場所として知られます。

古都祝奈良

壁に映し出された象形文字(山、木、鳥など)に触れると、文字はその意味するものへと姿を変えます。生き物たちが動き始め、躍動感のあるアート作品が見る者に迫ってきます。

これは面白い!

アート作品の仕組みを知った子供たちが、我先にと画面にタッチして遊んでいました。

まさしく双方向性で、インタラクティブなアート作品ですね。

春日大社着到殿の古都祝奈良

古都祝奈良の会場「春日大社着到殿」。

現在の着到殿は応永20年(1413)の再建と伝えられます。国の重要文化財に指定される建物で、2011年には式年造替の一環として檜皮屋根の葺き替えが行われました。

春日大社着到殿

創建は延喜16年(916)のようです。

春日祭の折りに勅使(天皇のお使い)が着到の儀式を行うところで、天皇行幸の際には行在所(あんざいしょ)としても使われた。南(参道側)が正面であるが、東側を入母屋の葺き下しとし、そこから出入りしている。

行在所(あんざいしょ)とは、天皇行幸の際の仮の住まいのことを言います。この場合、行在所の ”アン” は唐音とされます。いくら「仮」とはいえ、天皇のお住いなのです。そう思うと、何と畏れ多いことでしょうか(笑)

インタラクティブアート作品

無邪気に子供たちがはしゃいでいます。

文字から変化したものたちはそれぞれが知能を持ち、鳥は木の枝に止まり、雨が降ると土からは命が芽吹きます。昔から変わることなく綿々と受け継がれる生命の営みが、画面いっぱいに活き活きと描かれます。

この掲載写真は、巨大な象が何かに変化していく瞬間を捉えています。象といえば象形文字そのものですよね(笑) 動きが割と早いので、ぼ~っとしていると置いていかれそうになります。

春日大社着到殿

着到殿の東側。

出入口が設けられていますね。

入口手前には受付所が設けられていました。古都祝奈良のコンセプトブックをはじめ、会場地図、スタンプラリーなどが無料配布されています。

榎本神社の道案内

すぐ近くには榎本神社が鎮座しています。

春日大社の祈祷所へもおよそ100mの距離です。

春日大社境内

上手からは清らかな水が勢いよく流れ、丸い石鉢の中に注いでいました。

ここは春日大社回廊の外側に位置しています。回廊の内側には砂ずりの藤や風宮神社、多賀神社などが鎮まります。前回の参拝では御蓋山遥拝所や藤浪之屋など、より本殿に近いエリアに足を踏み入れました。スピリチュアルな雰囲気に包まれた場所に身を置き、背筋が伸びる思いだったことを思い出します。そして今回は、人生で初めて着到殿の中に入ることになりました。

春日大社着到殿

着到殿の中から南側の参道を見下ろします。

春日大社の石燈籠がずらりと並んでいるのが見えますね。

春日大社着到殿

参道側から着到殿を見上げます。

数多くの参拝客が着到殿のアート作品を楽しんでおられました。

今回の春日大社のアート作品は、紫舟+チームラボ(音楽:高橋英明)によります。類まれなる表現力で書の世界を体現する美人書家・紫舟(ししゅう)さん、それにデジタル社会のテクノロジスト集団 ”チームラボ” が見事にコラボしています。

春日大社着到殿

着到殿の天井。

インタラクティブアートならではの工夫も随所に見られます。

象は鑑賞者を見つけると鼻を上げて挨拶します(笑) スクリーン上の生き物たちは鑑賞者からも影響を受けるという仕組みです。犬は人の足元に寄り添い、牛は人に角を向けて威嚇します。

古都祝奈良

単なる美術鑑賞にはとどまらない楽しさがありますね。

東アジアの交流を深める国家プロジェクトの「東アジア文化都市」。

日本と中国と韓国のお互いの関係を築いていくために行われる催しです。

今年は日本の奈良市、中国の寧波市、韓国の済州特別自治道がそれぞれに選ばれています。古来より密接に繋がり合ってきた国同士が、改めてその親交を深める目的で開催されるイベントです。

春日大社着到殿

下手の参道から上がって来たところ。

石垣の上に、皇室ゆかりの着到殿が建っています。

古都祝奈良のイベント会場は春日大社の他にも、東大寺、興福寺、元興寺、大安寺、薬師寺、唐招提寺、西大寺などにも設けられています。

今回私は東大寺鏡池に浮かぶ船や、興福寺の花の蕾オブジェを見学して参りました。奈良町エリアにも足を伸ばし、奈良オリエント館の「かやり火の蔵」、鎮宅霊符神社の「ボタン/雨」、北風呂町の倉庫の「雫 – story of the droplets」、東城戸町会所(大国主命神社)の「地風」などを見学しました。どれもインパクトのある作品で、皆さんにも是非おすすめしたいと思います。

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