十輪院の蓮

7月初旬の朝、十輪院の蓮を楽しんで参りました。

十輪院は地蔵信仰で知られるお寺ですが、蓮の名所でもあります。梅雨が明けていないにも関わらず、毎日暑い日が続きますね。夏とくれば蓮、蓮と言えば十輪院ということで迷うこともなく十輪院を目指します。

十輪院の蓮

十輪院の蓮。

国宝の本堂前に、蓮の鉢植えが置かれていました。蓮鉢の見頃は7月下旬ころまでですが、境内の池に咲く蓮は8月に入っても楽しめるようです。私が訪れた時、境内は工事中でした。春日曼荼羅石の奥の方で作業員の皆さんが休憩なさっていました。

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生命と再生を象徴する元気な蓮!

泥の中から綺麗な花を咲かせる蓮。

人の世の無常観とも重なり、古来より仏教寺院との関係も深いとされるハス。開花のタイミングで音を発すると言いますが、一度その音を聴いてみたいものですね。

十輪院の蓮

寄棟造の本堂は、鎌倉時代前期の建築物です。

十輪院は元正天皇の勅願により建立されています。右大臣・吉備真備の長男であった朝野宿禰魚養(あさのすくねなかい)が建てた寺院とされます。書道の名人と伝わる「魚養」を開基とするお寺です。

本堂向かって右奥には、横穴式石室に似た祠を持つ魚養塚があります。十輪院にお参りしたら、伝説に彩られた魚養塚にも手を合わせておきたいですね。

十輪院の蓮

蓮の葉に太陽光が当たり、その葉脈が透けて見えます。

左手奥の屋根瓦は、十輪院の入口である南門(鎌倉時代)です。切妻造の四脚門で、門の脇には高野山直送の胡麻豆腐を案内する看板が立っていました。どうやら十輪院で購入することができるようです。

胡麻豆腐とお寺というのも相性がいいですよね。

精進料理としてお坊さんたちに食されていたからだと思われますが、その作り方にも起因しているのかもしれません。胡麻をゆっくり煎り、すり鉢でひたすら擦り続けます。胡麻から油が出て、それこそドロドロになるまで擦り続け、ようやく吉野葛と合わせて練っていくことになります。ゆっくり時間をかけ、精魂込めて作る料理が胡麻豆腐なのです。擦り続けている内に無心の境地にでも至るのでしょうか。お坊さんの世界では食べることも修行の一環だと言われますが、ひたすら同じ作業を繰り返す胡麻豆腐作りの工程こそ、日々の修行に通じているのかもしれません。

南都二六会のなーむくん

南都二六会なーむくんのポスター。

十輪院の南門両側には、長い築地塀が続いています。道を挟んだ門前には、十輪院の駐車場があります。門前の通りは道が細くなっていますが、約10台ほど駐車可能です。

十輪院不動堂

南門入ってすぐ左手にある不動堂。

重要文化財の不動明王像と二童子立像が安置されています。

十輪院のハス

大きな葉っぱの縁(ふち)が波打っていますね。

太陽光を一杯に浴びようとしているのか、大きな葉をさらに大きく広げています。ここは池なのですが、池の水面が隠れてしまって見えません(笑) ここの蓮はかなり背丈もあって、池を覆い隠さんばかりです。

ダイナミックな魅力に満ちた ”蓮の乱舞” ですね。

十輪院のハス

我先にと、天に向かって伸びています。

その成長力はいかばかりのものかと想像します。

十輪院の蓮と御影堂

お昼前ということもあってか、花の数はそんなに多くありませんでした。

それよりも葉っぱが主役の蓮池です。

花の向こうに宝形造の御影堂が見えていますね。お寺らしい建物を背景に蓮の花を撮影しておきたかったのですが、これがやっとの一枚でしょうか(笑) 大きな葉が邪魔をして納得のいく写真が撮れませんでした。そんな小手先の技よりも、蓮の奔放な勢いを感じさせられた一日です。

十輪院の蓮

その点、鉢植えの蓮は大人しいものですね。

本堂を背景に、絵になる光景を届けてくれます。

インドではかつて、蓮の葉を団扇にして利用していたと言います。これだけ面積が広ければ、団扇の代用にもなるというものです。蓮の葉の裏面に爪を立て、文字を書くこともできたようです。あるいは火照った体に巻くことによって、湿布代わりにも使ったそうです。

現代日本においては、精神的なものと結び付けられる傾向にある蓮。その蓮も、随分実用的な用途で使われていたんですね。

奈良の蓮といえば薬師寺、唐招提寺、喜光寺を巡るロータスロードが有名ですが、市内中心部に足を伸ばせば十輪院が控えています。暑い夏の最中ではありますが、是非一度十輪院を訪れてみましょう!

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