西神社や稲荷社を巡る@高鴨神社

高鴨神社には数多くの境内社が祀られています。

本殿向かって左側と右側に、まるで両翼を広げるようにそれぞれの神様が鎮まります。拝殿前で手を合わせて参拝を終わらせるのではなく、時間があれば境内社にも足を伸ばしてみられてはいかがでしょうか。一つの神社にお参りしながらも、様々なご利益に授かれるかもしれません。

八幡神社

拝殿左手前の階段を下りて西へ向かうと、まず最初に出迎えてくれる神様です。

誉田別命を祀る八幡神社です。

全国の武家から武運の神と崇められる「弓矢八幡」ですね。祭神の誉田別命(ほんだわけのみこと)は応神天皇と同一とされます。全国津々浦々に見られる八幡信仰ですが、武運による国家鎮護の他にも厄除開運、安産育児にもご利益があるようです。八幡はヤハタ、あるいはヤワタとも読みますが、そもそもこの発音は朝鮮語の海(パダ)に由来しています。古語辞典を紐解けば、海のことを海(わた)と表現していたことが分かります。海の神様は「海神(わたつみ)」であることからも、八幡神が海に関わる神様であることがうかがえます。

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数多くの神様を祀る金剛山麓のパワースポット

金剛山の東山麓に鎮まる高鴨神社は、全国でも有数のパワースポットとして名を馳せます。

大和盆地の東には大神神社や石上神宮といった古社が祀られていますが、大和盆地の西を代表する神社は高鴨神社と言っても過言ではないでしょう。

高鴨神社拝殿

拝殿へと続く石段。

木立に囲まれた静寂の空間に、ひっそりと拝殿が建っています。

高鴨神社の御神木

石段の手前には鳥居が建ち、その手前に御神木が聳えます。

高鴨神社の境内社巡りは、拝殿へと続く石段を上らずに鳥居を抜けて左へ取ります。右手にも県指定重要文化財の東神社をはじめとする多くの境内社が祀られていますが、今回は拝殿向かって左手に居並ぶ境内社を追ってご案内します。

八幡神社

八幡神社の祠。

象の意匠がいいですよね。こういうのを木鼻(ぎばな)と言うのでしょうか。

一言主神社

事代主命を祀る一言主神社。

事代主は言葉を授ける託宣の神でもあります。一言だけなら願い事が叶うというインスピレーションの神様でもあります。

一言主神社

高鴨神社の近くには葛城一言主神社が鎮座しています。

境内の乳銀杏で知られる神社ですが、高鴨神社とはハイキングロードの葛城古道でつながっています。拝殿向かって左に居並ぶ様々な境内社ですが、その一番奥には多紀理毘売命(母神)を祀る西神社が鎮座しています。参道右手に連なる祠はどれも外見がよく似ていて神様の判別が難しいのですが、祠に近付いてみればきちんと木のプレートでその名が案内されています。

猿田彦神社

一言主神社の次に鎮座しているのが猿田彦神社です。

道先案内人、道祖神として祀られる神様ですよね。毎年4月に催される大神神社の若宮神幸祭においても、渡御行列の先頭を行くのが猿田彦です。天狗の格好をしている神様で、とてもよく目立つ存在です。

猿田彦神社

猿田彦命の名前が案内されています。

サルタヒコはニニギノミコトの先導役を務めた伊勢の神としても知られます。目は爛々と輝き、長い鼻を持つ異形の神様として知られる猿田彦ですが、なぜそのような格好をしているのでしょうか。祭礼の先導役を務める猿田彦は天狗の面を被り、矛(ほこ)を手にしています。一説によれば矛は陽根の象徴であり、太陽神を表しているとも言われます。

聖神社

猿田彦の次は、大物主命を祀る聖神社です。

大物主は言わずと知れた国造りの神様ですが、聖神社という名前はあまり耳にしたことがありません。

聖神社

字がかすれかけていますが、わずかに聖神社と読み取れます。

境内社が続く参道は実にひっそりとしています。参道の左手には池が広がり、その右手に同じような格好の祠が建ち並んでいます。

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宇賀御魂命を祀る稲荷神社

聖神社を過ぎると、程なく右手に朱色の鳥居が複数並んでいる場所へと出ます。

よく似た祠が建ち並ぶ境内社の中にあって、ここ稲荷神社だけは少し趣を異にしています。ちょうどいいアクセントが付けられている感じです。

稲荷社

京都伏見稲荷大社の千本鳥居を思わせる複数の鳥居。

鳥居の下を細い参道が奥へと続いています。

稲荷社

緩やかな傾斜の石段を上って左へ曲がると、稲荷神社の祠が出迎えてくれます。

奉納された鳥居の奥に、狛犬ならぬ狛狐を従える小さな社殿が見えています。

高鴨神社の稲荷社

やはり五穀豊穣、商売繁盛の神様なのでしょうか。

全国各地で見られるお稲荷さんですが、ここ高鴨神社の境内にも手厚く祀られていました。

稲荷社の狐

稲荷ギツネのお決まりですが、口に咥えているのは如意宝珠や巻物ではないかと思われます。

日本全国に約三万二千社を数えるという稲荷信仰ですが、かつての江戸では「稲荷・八幡・犬の糞」と呼ばれるほどあちこちに存在していた神社です。稲荷神社のイナリは「稲生り(いねなり)」に由来しているそうです。日本人のDNAとも言える稲にそのルーツを見ます。

ライトと稲荷社

参道の照明灯。

夜間は真っ暗になるでしょうから、どうやら夜道には灯りが点されるようです。

七生報国の像

お守り授与所の斜め前に楠木正成の銅像が建っていました。

東京にもこれとよく似た銅像が建っていた記憶が蘇ります。私が幼い頃、祖父に連れらて行った東京旅行。その時の記念写真にこれとよく似た銅像前で撮影されたものがアルバムに残っています。

七生報国

像の下に「七生報国(しちしょうほうこく)」の文字が見えます。

七生報国とは、たとえ死んだとしても七度生き返って国のために報いることを意味します。太平洋戦争中によく用いられた言葉のようですが、後醍醐天皇に仕えていた楠木正成が、足利尊氏の軍に敗れて弟(息子とも)と共に自刃した時に誓った言葉に由来します。

高鴨神社駐車場

高鴨神社駐車場の看板。

高鴨神社の鳥居向かって左手に高鴨神社の駐車場があります。蕎麦を食べさせてくれるお店の奥に、葛城の観光案内を兼ねた葛城の道歴史文化館があるのですが、どうやら駐車場はそこと兼用になっているようです。

高鴨神社の池

神様の池ですからね、さすがに魚釣りは禁止です。

池の畔のベンチに腰掛けることはできるようです。

さて、先ほどの境内社巡りの続きですが、稲荷神社の次に姿を現すのは・・・

金刀比羅神社

金毘羅さんのようです。

苔生した屋根の緑が美しいですね。

金刀比羅神社

大己貴命を祀る金刀比羅神社です。

祠には注連縄が張られ、そこに純白の紙垂が掛かっています。

八坂神社

その次は八坂神社です。

奥の方に一際大きな社殿が見えていますが、あれが多紀理毘売命を祀る西神社です。八坂神社を含めてあと三つというところまで来たようです。

八坂神社

スサノオノミコトを祀る八坂神社。

京都の祇園祭ではすっかりお馴染みの神様です。疫病を鎮める神様として信奉されています。

牛瀧神社

西神社手前に祀られているのが、牛瀧神社です。

牛瀧神社?初めて聞く神社名ですね。ネット検索してみたところ、徳島県板野郡にも鎮座している神社のようです。

牛瀧神社

牛瀧神社の御祭神は豊岡姫命のようです。

伊勢外宮に祀られる豊受大神(とようけのおおかみ)でしょうか。豊受大神は伊勢内宮のアマテラスに食事を提供する豊穣の女神として知られます。

西神社

拝殿西側の一番奥に祀られる西神社。

宗像三女神の中の一柱・タキリビメ(多紀理毘売命)を御祭神とします。

高鴨神社鳥居

高鴨神社鳥居。

高鴨神社の神域へと入って行く入口です。

高鴨神社境内社の屋根

鄙びた風情の境内社の屋根。

スピリチュアルな空気に満ちた境内に、ぴったりとはまっています。

高鴨神社境内社の屋根

神話の世界をそっくりそのままに感じることの出来る高鴨神社の境内。

由緒ある鴨族発祥の地ともされ、結婚式や七五三、それに初詣などで訪れる人も多いのではないでしょうか。日本サクラ草の名所でもあり、見頃のゴールデンウィークシーズンには特に賑わうことと思いますが、何もない普段の高鴨神社もいいものです。静かな空気に満ちた境内社を巡りながら、普段着の境内に出会えたことに感謝致します。

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