喜光寺本堂の阿弥陀如来坐像

試みの大仏殿と呼ばれる喜光寺本堂。

重要文化財の本堂内に、穏やかな表情をした御本尊・阿弥陀如来坐像(重文)が安置されています。その両脇侍として観音菩薩と勢至菩薩も祀られていました。喜光寺本堂内は写真撮影が許可されており、仏像好きには嬉しい限りです。

喜光寺本堂の仏像

喜光寺本堂の阿弥陀如来坐像。

私が拝観した翌々日の3月2日には行基会大祭法要が行われるとのことで、着々とその準備が進められていました。喜光寺は行基終焉の地でもあり、3月2日は行基の命日に当たるそうです。毎月2日が喜光寺縁日とされ、一年の内でも特に3月2日は特別な日に当ります。法話や柴燈大護摩も執り行われ、境内は大いに賑わいます。

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平安時代後期の丈六仏を喜光寺金堂内に拝観

喜光寺の阿弥陀如来坐像は平安時代後期に造られています。

寄木造の仏像で、像高2.33mとされます。

穏やかな表情が印象的で、国の重要文化財にも指定されています。

喜光寺阿弥陀如来坐像

蓮華座に金箔が残っていますね。

喜光寺の阿弥陀様は木彫りの上に下地漆(したぢうるし)を塗り、その上を金箔仕上げにしているそうです。尊顔にもその名残が見て取れます。肩から胸にかけての流麗な衣文線、印を結ぶ手の表情などにも慈悲深さがうかがえます。

阿弥陀様の頭部ライン上に注目です!

雲に乗って飛んでいるのは、雲中供養菩薩でしょうか。まだ真新しい仏像のようですが、京都平等院鳳凰堂で拝観した52体の雲中供養菩薩像を思い出します。

喜光寺本堂

喜光寺本堂。

「試みの大仏殿」と呼ばれる ”金堂” に相当する建築物です。

本堂前には蓮の鉢が並んでいました。薬師寺、唐招提寺、喜光寺の三ヶ寺による「ロータスロード」は初夏における蓮のイベントとして定着しています。蓮の季節になれば、また違った顔を見せてくれることでしょう。

なぜ試みの大仏殿と呼ばれているのか?

実は喜光寺本堂は、東大寺大仏殿のサンプルとして造られたのです。世界最大の木造建築物として知られる東大寺大仏殿ですが、その十分の一の縮小版とされます。実は十分の一というサイズは大仏殿創建当初のものと比較していますので、今の大仏殿と比べればもう少し縮小率は小さくなるものと思われます。

パッと見には二層建築ですが、屋根に裳階の装飾が付けられているため単層であることを忘れてしまいそうですね。

明応8年(1499)に焼失した後、室町時代の天文13年(1544)に再建されています。裳階を付けた美しい復古建築は、薬師寺東塔や金堂、さらには東大寺大仏殿を彷彿とさせます。

実はこの本堂、上層支輪(しりん)の辺りに天窓が造られ、西方の光が差し込むようになっているそうです。阿弥陀の来迎を思わせる演出で、浄土信仰にふさわしい阿弥陀堂として親しまれています。

仏前の法具

阿弥陀如来の仏前。

ここに坐して、尊いお経が唱えられるのでしょう。

坐と十六菊花紋

背もたれ部分には涙型の穴が開いていますね。

阿弥陀如来の台座の下方には垂れ幕が掛かっていました。

十六菊花紋

天皇家を象徴する十六菊花紋でしょうか。

八重咲きの菊ですね、花弁が三重にデザインされています。

当初は菅原寺と呼ばれていた喜光寺ですが、天平20年(748)に聖武天皇が参拝した際、御本尊から不思議な光明が放たれたという伝説が残されています。喜光寺の名前の由来は、このミステリアスな光を瑞祥としたことに因みます。

喜光寺本堂の鳩除け網

本堂入口付近に、何やら網が掛かっていました。

一体何でしょうか、この網は?

鳩除け案内

扉にその案内がありました。

なるほど、鳩除けだったのですね。

重要文化財を安置する本堂内で、巣作りや産卵をされたらたまったものではありません(^-^;

喜光寺本堂の観自在菩薩

阿弥陀如来の向かって右側に坐す観音菩薩。

木札には「脇侍 観自在菩薩」と案内されています。

お顔を拝見すると、これは明らかに微笑んでいますね(笑) 組んだ足も緩やかに崩され、すぐにでも衆生に救いの手を差し伸べて下さる様子がうかがえます。南北朝時代の仏像で、像高は1.64mのようです。

観自在菩薩と阿弥陀如来

柔らかいですね。

印を結ぶ手にも、どこか柔和な動きが感じられます。

脇侍の観自在菩薩坐像

うん、この角度からもはっきりと笑っています。

本来は脇役の仏像ですが、阿弥陀如来の脇侍に会うためだけでも喜光寺を訪れる価値はありそうです。菅原の里の微笑仏此処にあり!といった感じです。

重文の阿弥陀如来坐像

真ん中にどっかりと腰を下ろす御本尊。

光背に欠けが見られるのは少々痛々しいですが、それを補って余りある重量感です。

一見すると眠そうに見える目ですが、この半開きの眼は心を鎮めた禅定(ぜんじょう)の状態を表しています。

脇侍の勢至菩薩

向かって左側には勢至菩薩が祀られています。

勢至菩薩も微笑んでいますね。

喜光寺本堂の勢至菩薩

南北朝時代の勢至菩薩坐像。

阿弥陀如来の両脇を固める観音と勢至。

「型を持つ」ことの強みを感じさせてくれますね。阿弥陀を守る ”観音勢至” はお約束の並びです。笑みを浮かべながら余裕すら感じさせる脇侍を仰ぎ、古来変わらぬ型の強さを感じた次第です。

喜光寺本堂の仏具

何という名前の仏具なのでしょうか。

お寺の堂内には興味深いものが色々ありますよね。

喜光寺本堂の天井

天井を見上げます。

見事な造りですね、吹き抜けのようにかなり高くなっていました。支輪が見られるところからも、これは折り上げ格天井ではないでしょうか。

喜光寺金堂仏像群

喜光寺の宗派は法相宗なんだそうです。

薬師寺唯一の別格本山という位置付けで、薬師寺との関連の深さもうかがわせます。

行基菩薩坐像

こちらは行基菩薩坐像でしょうか。

小さい仏像ですが、行基創建の寺ということで本堂内にも祀られていました。

本堂の左奥手には真新しい行基堂が建てられており、その堂内にも行基菩薩坐像が安置されています。像高83cmの坐像で、唐招提寺所蔵の行基菩薩坐像を ”入滅1250年” を記念して複製したそうです。

ご住職法話

ご住職の法話の様子でしょうか。

本堂内の壁に写真が貼られていました。

喜光寺金堂の阿弥陀如来と勢至菩薩

こんなに間近に仏像を拝観できるとは思ってもみませんでした。

深い瞑想に入った阿弥陀様を見ていると、自然と心のざわつきが収まっていくのを感じます。静かに対峙し、自分の心を対象物に移す作業に入ります。あ~いいですね、この感覚。

喜光寺金堂の仏像群

横に回って拝むこともできます。

光背の影が壁面に映し出されていますね。

喜光寺本堂仏像群

仏像が座る台座は須弥座でしょうか。

須弥山を表した壇状の台座です。仏が住むという須弥山の上に蓮華座を置き、さらにその上にそれぞれの仏像が坐しています。

阿弥陀如来の蓮坐

阿弥陀三尊像の中心を担う阿弥陀如来。

西方浄土で説法をする阿弥陀如来を軸に、慈悲深い観音菩薩と悟りの境地へと導く勢至菩薩が両脇に配されます。パターン化された阿弥陀三尊の配列に、ある種の安心感を覚えます。

試みの大仏殿

長岳寺の阿弥陀三尊には感動したものですが、喜光寺の阿弥陀三尊も捨て難いですね。

何より脇侍の笑顔がいい。

建物が少なく、その見所も限られている印象が強かった喜光寺ですが、どっこいそんなことはありませんでした。新たに生まれ変わった南大門や宇賀神王(うがしんのう)を祀る弁天堂、いろは写経で知られる本坊・写経道場等々、徐々にその魅力を増しつつあります。

是非あなたも喜光寺にお参りして、御本尊に手を合わせてみましょう!

<喜光寺の拝観案内>

  • 住所  :奈良県奈良市菅原町508
  • 開基  :行基菩薩
  • 拝観料 :500円
  • 拝観時間:午前9時~午後4時30分
  • アクセス:近鉄尼ヶ辻駅より徒歩10分。近鉄西大寺駅より「歴史の道」経由で徒歩20分。バス停「菅原神社前」・「阪奈菅原」。
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