桜井市浅古のこうぜ古墳群

桜井市浅古のこうぜ1号墳を見学して参りました。

こうぜ古墳群は1号墳から3号墳までありますが、石室見学が可能なのは1号墳のみです。2・3号墳もその埋葬施設は1号墳と同じ横穴式石室だと思われますが、今はその痕跡を残すのみです。

こうぜ1号墳の東石室玄門

こうぜ1号墳の東石室。

両袖式の横穴式石室で、やや右袖幅の方が大きい造りになっています。玄門付近の石はさすがに巨大ですね。羨門からかなり天井が低くなっており、屈みながらの石室インとなりました。

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前方後円墳の前方部に築かれた東石室

こうぜ1号墳においては、二つの石室が開口しています。

こうぜ1号墳の築造年代は赤坂天王山1号墳と同時期、もしくは直前段階と考えられています。6世紀後半~末頃の築造と推測され、終末期古墳の一つとされます。前方後円墳の前方部に東石室、後円部に西石室がそれぞれ開口しています。

こうぜ1号墳の東石室開口部

こうぜ1号墳東石室の開口部。

東石室は西石室に比べて一回り規模が小さいようです。主軸が南東方向で、西石室とは少し開口方向が異なります。開口部付近には落葉が敷き詰められていました。

こうぜ1号墳の横穴式石室は急坂の丘陵斜面にあるため、開口部に辿り着くまでが一苦労です(笑) 木の幹や枝につかまりながら、足を滑らせないように注意が必要です。ちょっとしたアスレチック気分が楽しめるのもこの古墳の特徴でしょうか。

こうぜ1号墳の東石室持ち送り

東石室の玄室内。

見事な持ち送りですね!

玄室長4.7m、高さは現況2.5mです。土砂が多量に流入していることを考えると、側壁の様子からも玄室高は3mを超えるものと思われます。奥壁の石積みは3段構成のようです。

こうぜ1号墳の東石室開口部

東石室入口付近の赤いマーキング。

急坂のアクセス途上にもマーキングテープが見られましたが、ここ最終地点にも親切に印がしてありました。

秋殿南古墳とこうぜ古墳群地図

こうぜ古墳群の周辺地図(「桜井の横穴式石室を訪ねて」桜井市文化財協会発行より)。

前方後円墳・1号墳の西方には方墳の秋殿南古墳があります。鳥見山山麓には実に様々な古墳を見ることができます。こうぜ古墳群を見学する前に、磚槨墳で知られる舞谷2号墳も併せて見て参りました。横穴式石室の宝庫と言われる桜井市ですが、実際に足を運んでみれば納得の一語に尽きます。

鳥見山山頂を中心として複数の尾根が放射状に広がり、それぞれの尾根の先端に数多くの古墳が築かれています。こうぜ2号墳と3号墳はいずれも小さな円墳のようですね。

こうぜ1号墳への行き方案内

さぁ、それでは恒例のアクセスルートを辿ることにしましょう。

まず押さえておくべきは、秋殿南古墳のすぐ近くということです。そんなに迷うようなこともないと思います。但し、少しの体力を必要とすることだけは断っておきます(笑)

こうぜ古墳群のアクセス道

このポイントを左へ入ります。

県道37号線浅古交差点を東へ300mほど進んだポイントです。すぐ南側には桜井市立桜井中学校があります。電柱にカーブミラーが付いていますので目印にして下さい。民家と畑の間の緩やかな坂道を北へ向かいます。

ちなみに周辺に駐車場はありません。

こうぜ古墳群のアクセスルート

ここを入って行きます。

行く手に禿山のような丘が見えていますが、こうぜ1号墳はあの丘陵の右手辺りにあります。

こうぜ古墳群のアクセスルート

道が二手に分かれていますが、ここは直進します。

こうぜ古墳群のアクセスルート

この細い道を辿ります。

すぐ左手には民家が迫っています。

こうぜ古墳群のアクセスルート

右手に「感電注意」の案内札が立つ畑が見えて参りました。獣除けなのでしょうか。

この畑の向こう側の丘陵を登って行くことになります。

こうぜ古墳群のアクセスルート

右に折れて、草生した道を進みます。

竹藪の中へ入る手前辺りで、左手の丘陵を見上げます。

こうぜ古墳群の丘陵

ここを登って行かなければなりません!

所々に木が生え、至る所に倒木が見られます。地面には落葉が敷き詰められ、ちょうどよいクッションになっていました。かなりの急勾配なので自分の足だけでは登れません。手も使いながらの登攀(とうはん)となります。幹や枝、切り株などにつかまって、エイッと体を引き上げます。足元もおぼつきませんので、常に足場を確認しながらの古墳探訪となりました。

こうぜ1号墳の見取図

こうぜ古墳群の見取図。

1号墳が前方後円墳、その前方部に重なって示される円墳が2号墳、そして後円部から少し離れた位置にあるのが3号墳の円墳です。1号墳の東石室と西石室も、それぞれ前方後円墳の中に描かれていますね。この見取図で見ても、確かに開口部が違う方向を向いているのが分かります。

竹の印

アクセス途上にあった竹のマーキングテープ。

行きは良いよい帰りは怖いで、急坂を下って行くのはまたとない体験でした。ちょうど幼子がお父さんの胸元に飛び込むように、太い木の幹を目がけて駆け下ります。そこで一旦抱き留めてもらい、再び次のルートを探るといった感じです。

所要時間は下から3分ほどだったでしょうか・・・

こうぜ1号墳東石室の開口部

ありました、ありました!

こうぜ1号墳の東石室開口部です。ほぼ頂上に近い場所に口を開けていました。

こうぜ1号墳東石室の羨道

東石室の羨道。

体を屈めないと中を覗き見ることはできません。かなりの土砂の流入が見られます。

こうぜ1号墳東石室の羨道

古代空間へ誘うタイムトンネル!

所々に小さい石がかませてありますね。急坂を登って来たため背中が汗ばんでいましたが、不思議と石室の中に入るとす~っと引いていくような気がします。

羨道幅は1.4m、高さは0.8mを計測します。低くしゃがみ込みながら、玄室に向かって前進していきます。

こうぜ1号墳東石室の玄室奥壁

東石室の奥壁です。

玄室の中に入って、ようやく立ち上がることが許されました。

見事な三段積みの奥壁ですね。側壁は4~5段を数えるようです。懐中電灯を持参していなかったので、残念ながら玄室の中は真っ暗闇でした。帰宅後に撮影した写真を確認し、改めてその偉容に感動を覚えます。

こうぜ1号墳東石室の玄室内

奥壁と側壁の境目辺り。

かなり丸っこい小石が挟まれています。この石のお陰で絶妙なバランスが保たれているのかもしれません。

こうぜ1号墳東石室の玄室

奥壁を背にし、開口部を振り返ります。

すごい!これは「玉響(たまゆら)」なのでしょうか。

開口部からわずかな光が差し込んでいました。実に幻想的です・・・。

こうぜ1号墳東石室の開口部

やっぱり出てくるとホッとしますよね(笑)

横穴式石室の見学はいつも、少年時代の探検気分を思い出させてくれます。”怖いもの見たさ” でワクワクしながら未知の世界へと足を踏み入れたあの頃・・・大人になると、なかなかそういう機会にも巡り合えなくなるのですが、古墳見学だけは別格ですね。大(だい)の大人が楽しめる観光スポットと言っても過言ではありません。

こうぜ1号墳東石室の玄門

一旦外へ出ても、また見たくなるというのが人の性(笑)

小動物がここに巣を作ったりすることはないのだろうか?そんな疑問が湧いてきます。少なくとも雨除けにはなるだろうし、真冬でも少しは暖かいのではないかと思います。

こうぜ1号墳東石室玄室の残欠

玄室の奥にあった石。

うん?これはひょっとして石棺の残欠なのか?

無造作に置かれているにしては、少し様子が違います。棺の存在は不明のようですが、素人目には石棺の残欠部のようにも映ります。被葬者もこれまた不明とのことで、まだまだ謎の多い古墳のようです。

こうぜ1号墳東石室の出口

東石室の出口付近。

落葉が降り積もり、まるで天然のベッド状態です。

こうぜ1号墳東石室のマーク

開口部近くにあったマーキングテープ。

秋殿南古墳には桜井市教育委員会による案内板がありましたが、こうぜ古墳群には無いようです。辺りを見回してみても、古墳を解説するパネルは見当たりませんでした。

こうぜ1号墳東石室の開口部

開口部の巨石が落ちそうな気がするのは私だけでしょうか。

なんだかちょっと不安です。

こうぜ1号墳東石室からの眺望

東石室の開口部付近からの眺望。

眼下に民家が建ち並んでいますね。ここからさらに西へ行くと、こうぜ1号墳の西石室が開口しています。東石室から西石室へのルートも急勾配に変わりはありませんが、基本的には横移動となります。

大型石材を用いた両袖式横穴式石室の西石室

西石室は東石室に比べて、少し規模が大きいことで知られます。

今回私は東から西へと移動しましたが、反対のルートを辿ることもできるようです。秋殿南古墳の右手に墓地があり、そこから尾根伝いに回り込めば西石室へ先に辿り着きます。まずは1号墳の西石室を見て、その次に東石室を見学するというルートです。

こうぜ1号墳西石室の開口部

西石室の前にもマーキングテープがありました。

その入口は、南西方向に開口しています。

こうぜ1号墳西石室の開口部

潜り込むような開口部ですね。

勾配の付いた入口がぽっかりと口を開けていました。

こうぜ1号墳西石室の開口部

羨道の天井石の中で、一番入口側のものが30cmほど高く架けられています。

全長10.9m、玄室長5.4mの両袖式横穴式石室です。

かなり天井が低いですね。

こうぜ1号墳西石室の羨道

羨門付近からカメラを入れて撮影。

羨道幅は1.2mですが、その高さは堆積した土砂のため0.6mしかありません。東石室よりも20cm低いことになります。石室内に入ろうか迷ったのですが、今回は撤退することに致しました。滑り込むように入らなければならなかったので、私ごときでは少し勇気が足りません。登攀で使い果たした体力も一因にあるかもしれません(笑) まぁ言い訳はここまでにしておいて、次回は西石室から入ることにしようと思います。

こうぜ1号墳西石室の玄門

奥壁が3段、側壁は4~5段の構成で大型石材が随所に使われています。

両袖式ではありますが、右側で1m、左側で0.5mと少し偏った平面形を表しています。

こうぜ古墳群の帰り道

こうぜ1号墳の帰り道。

いや~、久しぶりに格闘した古墳でした。

古墳の形態は時代によって移り変わりがあります。こうぜ1号墳はちょうど、前方後円墳から方墳や円墳へと移り変わる過渡期に造られた古墳だと思われます。全長50mの前方後円墳で、大型の横穴式石室を2基見学することができます。

見学自由で、もちろん見学料も無料です。

奈良県桜井市には、こうぜ1号墳のような魅力に満ちた古墳が多数存在しています。

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