筆まつりと菅原天満宮筆塚

古筆を焚き上げて、毛物の霊を供養する奈良筆まつり

その舞台となるのが、日本最古の天満宮と称せられる菅原天満宮です。

物にも霊が宿ります。京都の安井金毘羅宮には櫛塚(久志塚)があり、古くなった櫛や簪が塚内に納められています。櫛や筆を供養するなんて、物に対する感謝の念が感じられて好感が持てますよね。

菅原天満宮の筆塚

菅原天満宮境内の筆塚。

なんだかロケットみたい(笑) 周りには梅の木が植えられ、菅原道真公を祀る神社であることをうかがわせます。

私が訪れた当日は、菅原の里盆梅展の開催期間中でした。梅の名所にふさわしく、境内には春を謳歌する梅が満開を迎えていました。

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筆造り体験、競書会、福餅撒きなど見所満載の春分イベント

奈良筆まつりは春分の日に執り行われます。

祝日ということで私には縁遠い行事ですが、筆塚を見られただけでも良しとしましょう。今年は3月20日(月)に催されるようですが、奈良筆の製造実演筆の市なども盛り込まれています。春爛漫の境内は、筆一色に染まるものと思われます。

菅原天満宮の紅梅

境内の海鼠壁を背景に紅梅をパチリ。

「菅原の里盆梅展」の期間は3月11日(土)までですので、筆まつりの頃には既に終了しています。とは言っても、少しは咲き残りも見られるのではないでしょうか。

奈良筆まつりの解説

奈良筆まつり 3月春分日。

筆の始祖の蒙恬(もうてん)将軍に感謝の蒙恬祭を執行し、その後に境内筆塚にて、日頃使っていた古筆を参拝者が当日神社に納めて新しい筆を授け享け、古筆を焚き上げて毛物の霊の供養を行う。また、奈良毛筆組合のご奉仕による著名書家の超大字書き・筆造り体験・奈良筆の製造実演・競書会・福餅まきを執り行い、筆の市も催される。

蒙恬将軍

初めて聞く名前だったので、さっそくググってみました。

蒙恬将軍は中国秦の将軍で、匈奴討伐などに功績を挙げた人物として知られます。しかしながら、陰謀によって自殺に追いやられたようです。蒙恬が獣の毛を集め、始皇帝に献上したのが筆の始まりとされていたそうですが、その後の遺跡の発見などにより蒙恬は筆の発明者ではなく、筆の改良者とする説が有力視されています。

筆の始祖に感謝するという蒙恬祭

日本人にもなじみ深い筆です。ましてや奈良は筆を特産品としています。書家ならずとも、これは必見の祭典ではないでしょか。

菅原天満宮拝殿

筆塚の前辺りから拝殿方向に振り返ります。

右手に切れている屋根は、菅原天満宮の手水舎です。

菅原神社の筆塚

築地塀を背に、すっくと建っています。

クネクネと枝を伸ばす梅とは対照的な立ち姿ですね。

筆塚の前で護摩が焚かれ、古筆を投げ入れて書道の上達を祈願すると言います。奈良筆まつりでは、使用済みの筆を新しい筆と交換してもらえます。原価に近い価格で筆を購入することもでき、筆好きにとってはまたとない機会ではないでしょうか。

書道史上における最も優れた能書家のことを三筆(さんぴつ)と言ったりしますが、書道三聖という括りもあるようで、菅原道真はそこに名を連ねています。”弘法も筆の誤り” の空海は三筆にも三聖にも列せられていますが、道真は三聖のみのようです。

菅原神社の牛像と梅花

太宰府天満宮に左遷とくれば、牛が連想されますよね。

菅原天満宮の境内にも、牛の石像があちこちに見られます。大きい牛に小さい牛、様々な牛たちが寝そべっていました(笑) 天満宮ならではの、ほのぼのとした光景です。

菅原の里盆梅展

室内の盆梅展。

屋外にもたくさんの梅が展示されていましたが、屋内に入るとより一層梅の香りが立ち込めます。

物を大切にするという心構え。

筆まつりから教わることは少なくないのではないでしょうか。長年使っていると愛着が生まれますが、いずれは役に立たなくなるのも事実です。ただ単に捨ててしまうのではなく、心から供養してあげる。そうすることによって、また新たな息吹が吹き込まれるのだと思います。

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