天理市の東乗鞍古墳

奈良県天理市杣之内町にある東乗鞍古墳をご案内致します。

この古墳は山の辺の道ルートから少し外れた場所に佇みます。築造年代は6世紀前半で、古墳時代後期の前方後円墳とされます。古墳のサイズは全長75mで、その後円部には中に入ることのできる横穴式石室が開口しています。

東乗鞍古墳の石室

東乗鞍古墳の玄室。

石室タイプは右片袖式横穴式石室で、全長は14.8mに及びます。開口部は非常に小さく、体を屈めて石室内に入ることになります。少し傾斜のある羨道を下って玄室内に到着すると、意外と広い空間に驚きます。玄室の高さは3.3mあり、立派な天井石に覆われていました。

家型石棺の奥には土砂が積もっているのでしょうか、奥壁の下部が隠れてしまっているような格好です。

東乗鞍古墳

東乗鞍古墳の前に石仏が祀られていました。

春日神を祀る夜都伎神社にお参りした後、まだ時間があったので石上神宮の方向へと歩き出します。この辺りに東乗鞍古墳や西乗鞍古墳のあることを事前に確認していたのですが、道案内などが無かったため、山の辺の道沿いで作業中の農家の方にお伺いしました。そうすると、東乗鞍古墳はすぐ近くにあり石室の中にも入れるとのこと。迷いやすいという東乗鞍古墳の行き方もご丁寧に教えて頂き、いざ目指してみることに致しました。

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竹藪の中を通って東乗鞍古墳へアクセス

竹之内環濠集落や内山永久寺跡、石上神宮といった主要な観光スポットは全て道標によって案内されています。

しかしながら、東乗鞍古墳は比較的マイナーな場所なのか、残念ながら道案内が付いていません。大体の目星を付けて目指すものの、途中で迷ってしまう人も多いようです。そこで、地元の農家の方に教わった行き方を写真付きでナビゲートさせて頂きます。

東乗鞍古墳とビニールハウス

夜都伎神社から山の辺の道を北上すると、やがて左手にこんもりとした杜が見えて参ります。

手前にはビニールハウスがありますので、おそらく間違うこともないでしょう。

山の辺の道沿いの電柱

ビニールハウスの向かって右手に電柱が立っています。

電柱には「ソノハラ」と記された白いプレートが付いています。山の辺の道沿いに立つこの電柱が、東乗鞍古墳へアクセスする際の目印になります。ここは重要ポイントですので押さえておきましょう。そして、この電柱の右手の土手を上がります。

東乗鞍古墳

畦道が真っ直ぐ竹林へと続いています。

この畔を竹林目指して進んで行きます。

東乗鞍古墳へのアクセス道

竹林の手前に辿り着きました。

ここが2番目の重要ポイントです。

二手に分かれていますよね。東乗鞍古墳のアクセス道は右手になります。間違いやすいY字路ですが、ここは迷わず右へ取って下さい。要するに竹林の外周を回るのではなく、竹林の中へと入って行くのです。

東乗鞍古墳の竹藪

薄暗い竹藪の中へと足を踏み入れます。

ここからいよいよ、異界への入口といった趣です。

東乗鞍古墳の竹林

緩やかな坂を登って左へ折れます。

竹藪の中を縫うように道が通っています。足の踏み場もないといった感じではなく、きちんと整備された道で一安心です。

東乗鞍古墳の竹藪

右手にはロープも張られています。

ここが東乗鞍古墳へ続く道であることを示しているようです。

東乗鞍古墳の階段

しばらく進むと、右手に階段が見えてきました。

この階段を上った先に東乗鞍古墳があります。竹林に入ってからわずか1~2分でしょうか、所要時間もあっという間です。

東乗鞍古墳

ありました、ありました。

石仏の背後に東乗鞍古墳の開口部が見えています。

東乗鞍古墳のある杣之内(そまのうち)という地名は、明治12年に三つの村が合併することによって生まれています。木堂、山口、内山の三村からそれぞれ「木」、「山」、「内」の文字を採って合成しているのだそうです。杣之内は作字地名ということになりますね。

南の方角にぽっかりと口を開ける東乗鞍古墳の開口部から、いよいよ石室の中へと足を踏み入れます。

家型石棺と組合式石棺の底石が残る石室内

石室の中に入っても石棺の残されていない古墳はよくあります。

しかしながら、東乗鞍古墳では貴重な石棺を見学することができます。

東乗鞍古墳の羨道

羨道部から玄室の中を望みます。

中は薄暗く、十分に光が届いていません。開口部は高さがありませんので、完全に体を屈めた格好で石室の中に入ることになります。入口から緩やかな傾斜になっていて、石室の中へと潜り込むような感じです。

東乗鞍古墳の石棺

玄室の奥から阿蘇ピンク石製の刳貫式家型石棺、その手前には二上山凝灰岩製の組合式石棺の底石の一部が姿を現します。

平成の代から古墳時代後期へとタイムスリップしたような空間です。

被葬者は不明で、本格的な発掘調査も行われていないようです。

組合せ式石棺の底石

組合せ式石棺の底石の一部です。

玄室内には神秘的な空気が満ちています。

組合せ式石棺の底石

割れているのか、あるいは故意に割ったのか。

その全体像には想像の余地が残されています。

東乗鞍古墳の玄門

玄室から開口部へと振り返ります。

真っ暗な石室内から外の光を見ると、やはり安堵感が漂います。玄門部付近に大きな石がありますが、これが片袖式石室の所以なのかもしれません。

東乗鞍古墳

地面から天井へ向かって徐々に面積が狭くなっています。

持ち送り構造の石室のようです。家型石棺の蓋が少しずれていますが、中の状態を見ることができるのかもしれませんね。今回はさすがに畏れ多くて中を覗くことはできませんでした(笑) やはり古墳見学には侵してはならない領域があるような気が致します。一縷の敬虔な気持ちが必要ですね。

東乗鞍古墳

手を合わせて東乗鞍古墳の石室に別れを告げます。

東乗鞍古墳には馬具や甲冑の小札など、出土遺物の言い伝えも残されているようです。いずれにしても謎の多い古墳であることに間違いはありません。

観光ガイドブックなどでは、同時期に築造された西乗鞍古墳がよく紹介されています。東乗鞍古墳よりも少し規模の大きい前方後円墳なのですが、東乗鞍古墳のように石室の中に入ることはできません。公園整備が進み、観光客もよく訪れる西乗鞍古墳に対し、東乗鞍古墳はより原始的で古代ワールドが楽しめる古墳と言えなくもありません。

東乗鞍古墳の駐車場は特に用意されていません。

山の辺の道のハイキングがてら、一度探検気分で訪れてみられてはいかがでしょうか。

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