日吉社の狛猿@大豊神社

哲学の道から少し東へ入った辺りに狛鼠で知られる大豊神社が鎮座します。

周辺地図を広げてみると、ノートルダム女学院の南方に位置していることが分かります。疎水分流に沿って南北に伸びる哲学の道を、少しだけ東へ進むと目的地の大豊神社へとアクセスします。

日吉社の狛猿

境内の北東隅に愛宕社と日吉社が祀られており、日吉社の守護神・猿が狛犬の代役を担っていました(笑)

並列する愛宕社の前には狛鳶(こまとび)が陣取り、他の神社では見られない面白い光景が広がります。大豊神社は鹿ケ谷一帯の産土神として信奉を集めるお社です。3月下旬には梅が境内を彩り、6月になると石段の参道を紫陽花が埋め尽くします。椿の名所でもあり、花のお社としても人気を博しています。

スポンサーリンク

北東方向の鬼門を守る猿

表鬼門の北東方向。

京の都全体から言えば、比叡山が北東方向に聳えます。歴史上、比叡山延暦寺の果たしてきた役割の大きさを感じずにはいられません。京都御所の北東方向にも、猿ヶ辻と呼ばれる鬼門除けがあります。御所の表鬼門に当たる北東方向には「欠け」があり、そこに金網に閉じ込められた猿の姿が見られます。

猿と鬼門には深い関係があるようです。

猿にまつわるお話としては、勝(まさる)から魔去る(まさる)に通じるなど、その縁起の良さが取り沙汰されます。奈良町の身代わり猿なども9つ連なっていることが多いのですが、「9が猿」で「苦が去る」に通じます。

大豊神社の愛宕社と日吉社

大豊神社の境内末社・愛宕社と日吉社。

向かって左側が狛鳶に守られる愛宕社で、右側に猿に見守られる日吉社が佇みます。

狛猿と狛鳶

手前が狛猿で、向こう側に狛鳶の姿が見えます。

そう言えば、石清水八幡宮の回廊北東方向にも鬼門封じとしての「欠け」が見られます。牛の角を持ち、虎の皮をまとった鬼が来ると言い伝えられる丑寅の方角。日本昔話などで登場する鬼が頭の中に蘇ります。いかにも恐ろしい、あの典型的な鬼の姿です。

当館大正楼の表鬼門にも欠けの部分があります。そこには、新たに増築しないという暗黙の了解があるような気が致します。

狛猿の扇

狛猿の手には扇らしきものが見られます。

丸く円を描くように刻まれているのは、日の丸を表しているのでしょうか。

大豊神社石灯籠の扇

大豊神社の参道沿いに立つ石灯籠にも、同じような扇の意匠が見られました。

どうやら末広がりの扇も、大豊神社のシンボルマークの一つなのでしょうか。

大豊神社の狛猿

どこか笑みを含んでいるようにも見えます。

十二支の周期を思い浮かべてみれば、丑寅のちょうど対角線上に未申が位置しています。南西方向の裏鬼門に未申が相当しているわけですが、なぜか猿は表鬼門を守護する動物として知られます。その理由が知りたいところですね。

大神神社のシンボルである「なでうさぎ」は太陽の昇る真東をシンボライズしています。子丑寅卯の方角で見てみても、卯は午前6時の真東を指しています。でも、少し視野を広げてみれば、太陽と反対の月をイメージさせるのが兎ではないでしょうか。不思議ですよね。一方の真西に当たる酉(とり)ですが、やはりこれも正反対の朝一番を連想させます。コケッコッコーと鳴くのは日の出の時間帯なのです。

金運恵受の狛巳

愛宕社と日吉社の向かって左手前には、金運恵受の狛巳が祀られていました。

大豊神社は狛ネズミだけではありません。鳶に猿、それに蛇までもが神域を守っています。

大豊神社の道標

若王子神社の手前にあった道標。

ここから大豊神社までの所要時間は、徒歩で6分のようです。

大豊神社からさらに北へ進んで行けば、足利義政の銀閣寺へとアクセスします。

災難除けの狛猿

災難除けの狛猿。

比叡山延暦寺の守護神である日吉社。

京都観光では誰しも一度は訪れたことがあるであろう八坂神社境内にも日吉社は祀られています。八坂神社の日吉社も、ご多分に漏れず境内の北東隅に鎮まります。円山公園から下って来て、クチナシの芳香が立ち込める植え込みの向こう側に見える鳥居をくぐると、すぐ右手に日吉社が鎮座しています。

大豊神社にお参りの際は、境内の表鬼門へも足を向けてみましょう。災いを取り払ってくれる猿が、あなたを待ちわびていることでしょう。

タイトルとURLをコピーしました