海龍王寺の十一面観音拝観

海龍王寺の本堂内に安置される十一面観音菩薩立像。

彩色の残る煌びやかな仏像として知られ、数多くの仏像ファンを魅了し続けます。長い間秘仏だったために、その美しさを今に留めています。”秘仏の意味” ここにあり、といったところでしょうか。

海龍王寺本堂と十一面観音立像

拝観受付で購入した十一面観音の写真。

美しい立ち姿で本堂内に祀られていました。海龍王寺の十一面観音は鎌倉時代に造られているのですが、昭和30年(1955)まで秘仏だったため、その美しい色彩をとどめています。着衣に刻まれた衣文線も実に繊細で優美です。細かな飾りを身に付けており、近づくと微かに揺れ動く様はまるで生きているようでもあります。

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切金模様と姿勢が美しい御本尊

海龍王寺の御本尊は、光明皇后が自ら刻まれた十一面観音像をもとに、鎌倉時代に慶派の仏師により造立されたと伝わります。光明皇后がモデルになっているという法華寺の十一面観音のことが頭をよぎりますね。

写経で有名な海龍王寺ですが、仏像拝観を主眼に置いてお参りするだけの価値はあります。十一面観音の他にも、重文指定の文殊菩薩立像、国宝の五重小塔、春の雪柳など見所にあふれたお寺です。

十一面観音立像のポスター

拝観受付の近くに十一面観音のポスターが貼られていました。

頭上には様々な角度から仏様が見守っていらっしゃいます。ぎっしり隙間なく並んでいるのではなく、角度を変えながら飛び出している様子が興味深いですね。光背の形は、放射状に光を発する放射光(ほうしゃこう)で表現されます。手にする水瓶には蓮華のつぼみを挿しています。

海龍王寺十一面観音立像

海龍王寺の十一面観音菩薩立像(重要文化財)

鎌倉時代に慶派の仏師により造立されました。金泥のお姿で、切金模様と、鍍金を施した装身具は精緻を極めており、頭部の自然な俯(うつむ)きに優しい手の動きや腰のひねりなど、姿勢までも美しい仏像です。

切金(きりかね)とは金・銀・銅の箔、または薄板を線状・三角・四角などに細かく切り、これを貼付して様々な文様を施す技法のことを言います。仏画や仏像の彩色に用いられ、切金で表された文様は実に美しいものです。

法華寺の十一面観音も上に案内されていますが、どちらもしなやかな動きが感じられる仏像ですよね。

海龍王寺本堂と西金堂

右手に本堂、正面には西金堂という伽藍配置です。

西金堂には国宝の五重小塔が収められています。

海龍王寺本堂と十一面観音立像

本堂を背に写真をかざします。

檜材に金泥が施された仏像なんだそうです。

ご住職に海龍王寺の縁起についてお話を伺った後、何か拝観の記念になるものはないかと探していたら、ちょうどこのお写真が目に留まった次第です。さっそく購入し、境内に戻って記念撮影という流れになりました。海龍王寺の本堂内は写真撮影禁止ですので、どうぞご注意ください。

海龍王寺本堂

海龍王寺本堂の案内板。

17世紀中期 桁行五間、梁間四間、入母屋造、本瓦葺

昭和63年3月3日指定

本堂は奈良時代に建っていた中金堂の位置を踏襲しており、深い軒の出と勾配の緩い屋根、それに堂内の柱配置が整然としていることなど、奈良時代の仏堂の様式と似ている点が多い。建立年代は寛文年間(1665年頃)とも伝えられ、江戸時代の建物でありながら古風な造りであり、古い伝統建築の様式が好まれた奈良の地域性を知ることができて貴重である。

奈良市教育委員会

なるほど、この本堂が中金堂の位置に当たるのですね。西金堂があるということは、かつてこの東側には東金堂が存在していたということでしょうか。

海龍王寺十一面観音立像

仏法の象徴である蓮の花を模った蓮華座

足元にもはっきりと文様が浮かび上がります。これだけ綺麗に残っていると、思わずまじまじと見入ってしまいますね。この観音様は右足を遊ばせているそうなのですが、この写真からは判別が困難です。仏像彫刻においては、直立不動ではなく一歩踏み出した姿で表現されることがよくあります。衆生を救済するべく、今にも動き出しそうな仏像が彫られるわけですが、海龍王寺の十一面観音様にも似たような表現が用いられているのかもしれませんね。

海龍王寺十一面観音立像

確かに腰をくねらせています。

その綺麗な曲線美からは観音様の慈悲が溢れ出ます。像高94cmの重要文化財を目の前にし、しばし時を忘れてその場に立ち尽くしていました。やっぱり仏像拝観はいいものですね。

海龍王寺大絵馬

海龍王寺の大絵馬。

遣唐使船と龍がデザインされています。

海龍王寺の開基は高僧・玄昉です。玄昉は唐から帰国する際、暴風雨に見舞われたそうです。海龍王経を唱えることにより九死に一生を得、無事に経論を持ち帰ることができました。その功績により、初代住職に迎えられたということです。

海龍王寺本堂

深い軒の出が美しいですね。

海龍王寺は平城宮跡からも程近い場所に佇むお寺です。

一年を通して数多くのイベントが組まれる平城宮跡ですから、イベント見学のついでにでも拝観をおすすめ致します。小ぢんまりした境内に見所の詰まった名刹です。運良くご住職にお会いできたら、色々お話を伺ってみるのもいいでしょう。SNSなどでもお馴染みの住職ですから、気さくに様々なことを教えて下さいます。

海龍王寺十一面観音立像

帰りには平城宮跡に立ち寄りました。

流れるようなラインが美しい海龍王寺の十一面観音菩薩立像。

次回の十一面観音の特別公開期間は10月22日~11月10日となっています。

遠方から奈良へ観光に来られた方には、法華寺~海龍王寺~平城宮跡の周遊観光をおすすめします。それぞれの観光スポットを徒歩で移動することも可能です。

<海龍王寺の観光案内>

  • 住 所 :奈良県奈良市法華寺北町897
  • 拝観料 :400円
  • 拝観時間:9時~16時30分
  • 駐車場 :無料
  • アクセス:JR・近鉄奈良駅よりバス航空自衛隊・西大寺行き法華寺前下車徒歩2分

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